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LastUpdated 2002/04/13
2002/03/31:羊たちの沈黙/トマス・ハリス/新潮文庫
読んでないのに、読んだ気になっていたことに今さら気づく。シリーズ3作中では、一番面白い。映画も主人公クラリスを中心としては、意外に忠実に作られて いたことがわかった。原作では、上司の捜査官、クローフォドの哀愁がなかなか良い感じで出ているのだが、このあたり、映画では省略。もったいない。#レクター博士は、原作では一貫して痩身ってことになってるが...頭の中ではアンソニー・ホプキンスで固まってしまっている...
2002/03/24:地球儀のスライス/森博嗣/講談社文庫
短編集。犀川、萌絵シリーズの登場人物が出てくる話も2つほど。同じく短編集だった「まどろみ消去」と比べると、はっきりくっきりしたオチが無い話なども 収録され、幅が広がった感あり。(でも、私ははっきり、くっきりの方が好みなのであった)
2002/03/23:ハリー・ポッターとアズカバンの囚人/J.K.ローリング/静山社
これで翻訳が済んでいる分に追いついてしまった。毎回、きっちり夏休みから始まり、ハリーの一年分の生活が描かれている。ハラハラもののエピソードはお約 束。一作ごとに、ハリーの両親や先生たちの若かりし頃、過去の事件なども、明らかになってくる。ただ、ちょっと今作では真相発覚した時の大説明が長くて複 雑...もうちょっと伏線をはっといてくれないと、いきなり驚くだけで、ミステリィとしては、もったいないなぁ。子供たちは、このあたり読み流してたりし そう....魔法の授業はだんだんレベルアップしてきて、相変わらず楽しい。
2002/03/14:兵器の常識・非常識 上・下/江畑謙介/並木書房
湾岸戦争時にはTVにひっぱりだこだった、あの江畑氏の本である。いやぁ、勉強になりました。兵器とはいえ、普通の製品同様、性能対コストのバランスがす べて。単純な工夫で効果絶大なコロンブスの卵的な発想の兵器もいろいろあるものだ。江畑氏の文章には思想的な部分がほとんど無く、とにかく正確な知識に基 づいた正しい理解が大事、という姿勢が現れており、好感が持てる。(兵器本って感じが全然しないのであった)
2002/03/12:森博嗣のミステリィ工作室/森博嗣/講談社
ミステリィの自分ランキングと解説、自分の作品についての解説や、昔描いた漫画、模型話、などなどなど、盛りだくさん。なんで作者あとがきがいつも無いん だぁ、と不満の人にはお奨め。
2002/03/10:解読「地獄の黙示録」/立花隆/文藝春秋
完全版のパンフレットにも解説を述べている立花氏。ナゼ立花隆が...と思っていたら、実はかねてから「地獄の黙示録」の熱烈なファンであった(知らな かった...)。初公開当時から完全版にいたるまでに、氏が書いた論文などがまとまっており、非常にわかりやすく「地獄の黙示録」のテーマについて解説さ れている。映画ではアクションシーン以外つまらなかったという人は、これを読んで、「地獄の黙示録」の楽しみ方を倍増させよう。とりあえず、自分は原典と なっているという、コンラッドの「闇の奥」を度読んでみたくなった。
2002/03/03:Apocalypse Now「地獄の黙示録」完全ガイド/カール・フレンチ/扶桑社
辞典形式で、アルファベット順で映画に関連した単語や台詞ごとに解説がつづられている。順に読んで良し、興味のある語句を拾い読みするも良し。で、内容だ が、拾い読んでいくうちに、かなり詳細に映画の成り立ちがわかるようになっている。とにかく、完成までの苦労話がつきない映画なのだ。ちなみに、リメイク の完全版製作前の本なので、完全版に相当する編集のものが、幻のバージョンということで、何度も出てくる。(たぶん4時間バージョンってやつだろう... 7時間バージョンってのもあったらしい)それに、この映画に原典があるなんて、知らなかったなぁ。
2002/02/23:異常快楽殺人/平山夢明/角川書店
取り上げられている犯罪者のほとんどが、十数人から400人までと、すさまじい人数を殺害した上、死体は解体して食べたりしちゃってます。それにしても、 全員が全員、あんまりな幼少時代を送っていることには、改めて驚いた。ところで、猟奇的な描写が念入りなので、序盤読み進むのが、ちょっとつらかい。フィ クションじゃないあたり、気分悪くなってきました。ちょっと一気に読むと、つらいかも...(苦手な人はやめときましょう)
2002/01/30:ハリー・ポッターと秘密の部屋/J.K.ローリング/静山社
手元に翻訳3巻+英語最新作があるので、さっそく2作目に突入。映画やらゲームやらの後で読み始めた1作目に比べ、予備知識無しでストーリーを追っていく のは、やはり楽しいもんです。今回から憎まれ役のマルフォイ家は親子で登場。ロンの家族も出てきます。でも、興味があるのはハーマイオニーの家族かなぁ。 <どんな育ちしてきたんだ(^^;)ちょっと、本作は事件発生->ハリーらが居合わせたところでみんなに発見され->あらぬ疑いが深まり...って感じの繰り返し だった気がする。展開がパターン化しちゃってたところが残念。真の悪役が後半にいきなり出てくるところも、ちょっと反則ぎみでしょう。
2002/01/19:ハリー・ポッターと賢者の石/J.K.ローリング/静山社
まず映画を観て、次にTVゲームして、最後にこの原作を読む。流行るだけあって非常に面白いのだが、いかんせん先々の展開を知ってたのがもったいなかった (逆にいうと、映画は原作にすっごい忠実)。小説でイギリスの魔法学校という斬新な世界観にひたり、映画を観て原作の見事な映像化を楽しみ、ゲームで疑似 体験って順番が良かったかも...というわけで、私が原作の持つ本来のレベルで楽しめそうなのは、2作目以降となりそう。
20021/01/11:メメント/今田雄二/ソニー・マガジンズ
映画観ての解釈確認のため買ってしまったノベライズ本だったのだが、これは映画観た人は読まなくていいです。観る前の人はなおさらで絶対絶対読んではいけ ません。付加的な要素はほとんど無いし、真相なんて創作されちゃってます。あの展開をどうやって小説化したのか興味あったのでがっかり....映画を観た後で、作者あとがきを立ち読みすれば十分。
2001/12/29:田宮模型の仕事 木製モデルからミニ四駆まで/田宮俊作/ネスコ 文芸春秋
模型ファン必読の面白さ。よく考えてみれば田宮の社長といっても普通の勤め人。特別に兵器の取材が優遇されるわけでもないわけで、戦車の資料集めなどな ど、取材関係の苦労話が特に良かった。後半はミニ四駆がメインとなるが、製品や子供たちへの思いが伝わってきます。文庫版もある模様。田宮世代の皆さん、 ぜひ買って下さい。#車のスケールモデルが実写を見た感覚に近づくようにデフォルメしてあるとは知らなかった...
2001/12/12:迎え火の山/熊谷達也/講談社
著者の持ち味を生かしつつ新境地を開拓した最新作。霊魂の解釈がなかなか斬新で、もしかして正体が明かされればこんな感じかもなぁ、と思わせてくれた。先 読みできない以外な結末や、ロードスター乗りのお坊さんはじめ、魅力的なキャラたちに楽しませてもらった。#久しく乗っていないバイク熱も復活!
2001/11/18:東京のオカヤマ人/岩井志麻子/講談社
いや参った。小説に負けず劣らず、エッセーといってもしっかり岡山人の岩井志麻子してます。ファンは安心して読めますね、これは。著者にかかると、どんな 人でも怖い怖い話の主人公として創作ねたにさせられちゃってます。それにしても、創作前後(いわゆるエッセー部分)の語り口はあっけらかんとしてるなぁ。
2001/10/08:鉄鼠の檻/京極夏彦/講談社文庫
1000ページ超えの大作であるが、相変わらず面白く、長さが全然気にならない。読み進むのがもったいない感じさえしてしまった。ただ、京極夏彦には、ぜ ひともラストで「な、な、なにぃー」と、うならせてほしいところなのだが、今回の結末のトンデモ度はそれほどでもなかったので、ちょっと残念。
#これ一冊で普通の文庫本4冊くらいないかぁ?
2001/08/30:総員起シ/吉村昭/文春文庫
二次大戦終局にまつわる実話を取材して書かれたノンフィクションの短編集。吉村昭はとにかく淡々とした文体なのだが、変な誇張が無い分、実際の出来事とし て伝わってくる部分が大きい。いつも引き込まれてしまう。
#映画、UボートもU-571もクリムゾンタイドもこれには負ける。
2001/08/26:有限と微小のパン/森博嗣/講談社
面白い。1作目の「すべてがFになる」のノリが戻っている。しかし、シリーズ最終作としては、オチていない。あぁ、フラストレーションがたまってしまっ た。結局、2人はどうなったのだぁ。これなら、文庫化を待っときゃよかった...
2001/08/18:フレディ 世界でいちばんかしこいハムスター/ディートロフ・ライヒェ/旺文社創作児童文学
子供たちには、「ハム太郎」なんぞより、これを読んで欲しいぞ。ストーリーも面白いのだが、本物のハムスターの習性や飼い方、ルーツについても、正しい知 識がちりばめられている。
2001/08/14:夜啼きの森/岩井志麻子/角川書店
津山30人殺しが題材(また岡山方面なのね...)。内容は映画「丑三つの村」とほとんどおんなじで、記録に忠実な感じ。
#書店に早くも岩井志麻子の次の新作が並んでいた、ぱらっと見たところ、今度は現代が舞台の模様。新境地を開拓か!?
2001/08/10:バールのようなもの/清水義範/文春文庫
短編集です。「みどりの窓口」に書いてあることは正しい!正しいったら正しい!ってくらい共感してしまった。(今は自動発券機があるから、まだよいが)
2001/08/08:数奇にして模型 NUMERICAL MODELS/森博嗣/講談社文庫
楽しめましたが、ちょっと犯人の行動が異常すぎ...しかし、そのあたりが本作のテーマとなっているのだろう。それにしても、森博嗣のミスディレクション には、いつもしてやられてしまう(読み返してみると、矛盾が無いようにうまくかわしてあるのだ、これが)。本シリーズ、さすがに西之園お嬢様の好奇心旺盛 さが鼻についてきた感じもするのだが、犀川先生は相変わらずマイペースに頭脳明せきなところが良い。本作では、特に脇役陣の頑張りも印象的であった。
#あぁ、あと一作でおしまいと思うとつまらない。
#SUKINI SHITEMO *OK*...
2001/07/28:バーサーカー 赤方偏移の仮面/フレッド・セイバーヘーゲン/ハヤカワ文庫
バーサーカーシリーズ第1作の復刻版。短編集的な構成だが、一話一話に味があって読みごたえ十分。古めのSFはテクノロジーが前面に出てこない分、話の展 開が奥深くて良いなぁ。
(バーサーカー皆殺し軍団:1999/09/29へ続く...共にお奨め本だ)
2001/07/28:オフシーズン/ジャック・ケッチャム/扶桑社ミステリー
---1文引用---
そのあと、レバーがいくらかついている極上の腰肉と脳髄とふたつの腎臓、それに骨からこそげるようにした後半身の肉の塊を、鋭いナイフで挽き肉にした。
---
げろげろー。こりゃぁ、あんまりお奨めできませんな。(^_^;)
2001/07/10:AΩ[アルファ・オメガ]/小林泰三/角川書店
最新作はイキナリSF。端的に言うと、アダルト版ウルトラマン、あるいは寄生獣ってとこだろうか。「デュアッ!」「ヘアッ!」「ジュワッ!」 (「コォッ!」っていうのが出てこなかったのが残念 < って一部の小林ファン向けなコメントだなぁ...)ちなみに、他の作品も読んだ上で本作を読めば、最後の最後でちょっとだけニヤっとできます。それにして も、小林氏は、体液、粘液、汁好きですなぁ。私はちと苦手...(^_^;)話自体は、あまりにとんでもない展開なあたり、けっこう良いです。
2001/06/24:密室・殺人/小林泰三/角川ホラー文庫
密室殺人ではなくて、密室&殺人なのだが、まぁ、推理小説的なトリックの方は平凡な感じ。しかし、なぁんだ...と思って最終章に進むと驚きのラ ストが待っていた。あまりの真相に、思わず読み返してみると、実は細々といっぱい伏線がはってあるではないか。うーん、やられました...(こっちが本題 なのね)
2001/06/22:赤目のジャック/佐藤賢一/集英社文庫
中世ヨーロッパの農民一揆を題材に、統率者ジャックと彼を信望する若者を描いた歴史ものフィクション。暴力・破壊描写のオンパレードで、ハードな内容だ が、主人公の若者が苦悩する姿をメインとして話は展開する。全体につまらない、ということも無いのだが、ジャックのカリスマ性が薄く、今いち説得力が無 かったところが残念。どちらかというと、わき役たちの方が、なかなか魅力的なキャラクタであった。
2001/06/13:ウエンカムイの爪/熊谷達也/集英社文庫
ウエンカムイとは凶暴な性格を持ち、人間を襲うヒグマのことである。「漂泊の牙」よりさらに現代版「熊嵐」的な展開であった。ヒグマの恐ろしさだけを強調 した内容ではなく、どう猛な野生動物との共存の難しさや人間のエゴ(主人公2人も例外ではないだろう)といったあたりが、全編を通して描かれている。読む 人にもよると思うが、自分としては「漂泊の牙」に比べて、少し切ない気分の読後感であった。
2001/06/12:ぶっぽうそうの夜/丸山健二/新潮文庫
本作も丸山氏ならではの独特の文体(今回は一人称)で淡々と進むのだが、猟奇殺人事件が関わって、いつになく後半盛り上がる。妻に去られた主人公は定年間 際で病におかされ、退職。死に場所を求めるかのように、かつて家族の惨殺事件が起きた村へと帰郷するのだが...突如現れた宿敵との対決はいかに!その後 の彼は...(うわわ、そうなっちゃいましたかぁ...(^^;)出だしを読んだ感じから主人公の傷心がとつとつと語られるかと思ったら大間違い。中年パワー全開の夏が過ぎゆくのであった。
2001/06/04:シーズ ザ デイ/鈴木光司/新潮社
主人公に共感できるかどうか...でしょうか。(何を勝手な...って気がしないでもない)それはさておき、ヨットでの航海や海の描写が良かったです。た しか、鈴木光司氏本人もクルーザーかなんか乗り回してたはず...
#最近げろげろの船酔い経験したばっかりなので、逃げられない状況を想像してしまった。いまいち浸りきれず、残念...(^_^;
2001/05/12:BRAIN VALLEY 上・下/瀬名秀明/角川文庫
部分部分では面白かった...のだが、正直言って、ラスト怒濤の急展開は非常に難解で付いていけず....結局どういうこと?(うぅぅ、スッキリしなくて 悔しい(^^;)
2001/04/21:今はもうない SWITCH BACK/森博嗣/講談社文庫
これまでのシリーズを全て読み進んできた読者向けに、けっこうなヒントがちりばめられているのだが....しかし、それでも見事にだまされてしまった! (どーも途中の展開に違和感があったわけだ)これまでの話を読まずにいきなり本作を読んだ人だったら、結末で怒っちゃうかも...
2001/04/12:タイムライン/マイクル・クライトン/早川書房
時間旅行のしくみのところは、いかにもクライトンっぽいのだが、今回のメインストーリーは、中世冒険活劇であった。チャンチャンバラバラ最後までつっぱ しった展開で、安心する暇はまったく無い。ふつうだったら、主人公たち全員10回ずつくらい死んでるなぁ、こりゃ(^^;)。
2001/03/30:死神/清水義範/角川文庫
芸能界を舞台に人の死に対する典型的な考え方や反応が綴られる、ユーモア小説だ。清水義範は、読みやすい自然な文体で、日本人文化的な状況が事細かに解説 されちゃっているあたり、非常に面白いと思う。
2001/03/28:さくら日和/さくらももこ/集英社
うーむ、さすがにネタがつきてきたか感じで「ももの缶詰」の頃のイキオイは失せてます。まぁ内容はともかくも、とにかくこの文体が好きなので、私は楽しめ ましたが。
2001/03/26:工学部・水柿助教授の日常Ordinary of Dr.Mizukaki/森博嗣/幻冬舎
前半、ややはずしたかな?と思っていたのだが、読む進むうちにハマってしまった気がする。理系なあなたなら笑えるはず。ただし、一生懸命読むとたぶん疲れ るよ。
2001/03/02:争いの樹の下で/丸山健二/新潮文庫
沼のほとり、森の主たる大樹の下で、首つり自殺した女から産み落とされた「おまえ」の生涯が、丸山ぶし全開で語られる。なっかなか波乱万丈の人生で、どう なってしまうんだろう...と思っているところに、うまく過去の逸話なんかが挿入されていて、うまくかわされてしまう。前に読んだ「千日の瑠璃」に続き、 かなり斬新、というか実験的な書かれ方の小説であった。
2001/02/03:岡山女/岩井志麻子/角川書店
連載小説の単行本化のようだ。デビュー作「ぼっけぇきょうてい」に続き、明治時代の岡山が舞台となっているのだが、今回も時代描写がそれっぽくて、うまい なぁ、と思う。片目が見えなくなったことをきっかけに、霊の世界が見えてしまうようになった若い女性霊媒氏の話であるが、恐ろしいという感じではない(霊 より、生きている人間の方は少し怖いのだが)。明治版「シックスセンス」といったところか。この小説、さらに連載中なのだろうか...?いまいち、続きそうな、これで終わりのような、はっきりしない最終話だったが...
2001/01/23:奥の部屋/ロバート・エイクマン/国書刊行会
古いイギリスの怪談の訳本だが、出版されたのは割と最近である(ただし、これがなっかなか見つけられなかった...)。短編集なのだが、どの話も、なんと もいいがたい結末の曖昧さが、独特の雰囲気をかもし出している。読後感、とっても不思議。
2001/01/05:ばね足男が夜来る/松尾未来/ハルキ・ホラー文庫
こっちは正統派ホラーで、グロなしサイコ(ほぼ)なし。夜な夜な襲ってくるばね足男が、まるっきり躊躇なしなところが、非常に怖い。どきどきしながら一気 に読める秀作。
2000/12/29:メルキオールの惨劇/平山夢明/ハルキ・ホラー文庫
B級ホラー、ちょっとグロ系、サイコ有(なんじゃそりゃ?)。無国籍なようで、実は日本が舞台なのだが、妙にノリはアメリカのソッチ系の影響が強く感じら れる。わりとあっさり終わるのだが、主人公(じつはかなりとんでもないヤツなのだ)が探し求めているという、"命題"の解が出てこない。どうなっちゃたん だぁ...?
2000/12/20:幻惑の死と使途ILLUSION ACTS LIKE MAGIC/森博嗣/講談社文庫
今回は大がかりなトリックのオンパレードに加え、犀川&萌絵のむちゃくちゃな会話(この辺が好きなのだ)もてんこ盛り。大変、ハデな展開になって いて、正に「幻惑の死と使途」が表バージョン、「夏のレプリカ」が裏バージョンという印象である。ただ、両ストーリーはほとんど干渉しておらず、同時進行 と設定された意味は特に無かったような気も...
2000/12/04:夏のレプリカREPLACEABLE SUMMUER/森博嗣/講談社文庫
久々に発刊された犀川&萌絵シリーズの文庫版は、同時期に起きた2つの事件が2冊に分けられたものだ。このため、「夏のレプリカ」は、偶数章しか 無いという変わった構成になっている。もう1冊の「幻惑の死と使途」(きっと奇数章しかないのだろう)の方は売り切れで入手できず。で、肝心の内容の方だが、残念ながら今回はちとはずれを引いた感じがある。ちょっといくらなんでも今回の種明かしは、反則でしょう。確かに 「えぇーっ!?」となって読みなおすと、決定的に矛盾する表現はうまくかわして書いてはあるのだが...やっぱりずるい!.....と、いうわけで、同時 進行していたという、もうひとつの事件の方に期待することにしたい。
2000/11/19:千日の瑠璃(上・下)/丸山健二/文春文庫
リゾート開発に揺れる湖畔の街に住む障害者の少年と、ふとしたきっかけで少年に飼われることとなったオオルリ、その他さまざまな人々の1000日間がつづ られている。「私は・・だ。」で始まる独特の語り口の文章が、1日かっきり1ページで1000日間続くのだが、その日ごとに変わる「私」は実に様々である (けっこうとんでもないものも登場するぞ)。読んでいるうちに、いつの間にか舞台となっている街や、住人たちの生活に引き込まれていくし、1頁で1日ずつ 進んでいく季節の遷り変わりを実感できた。#ちなみに、内容はちょっと暗いです。(私は気に入りましたが)
2000/11/06:ガダラの豚(1・2・3)/中島らも/集英社文庫
勝手な先入観で、おどろおどろしいドキュメンタリータッチの小説を想像していたが、冒険活劇的、エンターテイメント小説であった。1巻ずつ、エピソード単 位に分けられていて、それぞれが単品でもいけそうなくらい面白くまとまっている。2巻の後半あたりからは急展開で盛り上がるぞ。(でも個人的には1巻が好 き)
#しかし、いっぱい人が死ぬ割にノリが軽いなぁ...(^^;)
2000/10/24:レッド・ドラゴン(上・下)/トマス・ハリス/ハヤカワ文庫
なーんか、読み進むうちに知っている話のような気が...よく調べたら、「レッド・ドラゴン、レクター博士の沈黙」(なんちう邦題じゃ)って映画を以前見 ていたのであった。上巻はなかなか良い感じだったが、下巻に入ると異常心理の描写が多すぎて、ちょっと飽きた。ちなみにレクター博士は全編通じて、ちょっ としか出てきませんが、いい味出してます。
2000/10/12:ウォッチャーズ(上・下)/ディーン・R・クーンツ/文春文庫
サスペンスものなのだが、中盤とラスト付近で反則技の小道具を出されて泣いてしまった。ちょっと、後ひく、私の苦手パターンストーリーかも...(; _;)
2000/10/02:狂骨の夢/京極夏彦/講談社文庫
これまたボリューム満点の900ページ超え。あいかわらず終盤の憑き物落としのくだりは、すんごい展開であった。(このシリーズ...もう先読みしようっ たって私にゃ無理だなぁ)読み進むだけ謎が増えて混とんとしていくのだが、とにかく全部関連付いてまとまってしまう。私がファンの榎木津探偵、トンデモぶ りは健在だ。私の結末驚愕度: 魍魎の匣 >> 狂骨の夢 > 姑獲鳥の夏
2000/09/05:ハンニバル(上・下)/トマス・ハリス/新潮文庫
「羊達の沈黙」は映画のみで原作を読んでいないのだが、違和感無く続きのストーリーとして入っていけた。なっかなか怖い描写がラスト付近に...「な・ な・なにぃー!」っとなるかも。
2000/08/18:まどろみ消去 MISSING UNDER THE MISTLETOE/森博嗣/講談社文庫
ちょっと良い話的な短編集(11編収録)。基本的に、一連の探偵コンビシリーズとは関係の無いのだが、西野園さんが2編、犀川先生も1編にはちらっと登場 してくれた。それにしても、登場人物の*妙な名前*オンパレードは、絶対わざとやってるな。もう女の子の名前がスピカだろうが何だろうが、違和感が無く なってきてしまった(^^;)。あぁ、早く長編のシリーズの続きの方が読みたい。また、しばらく出ないんだろうなぁ。
2000/07/11:姑獲鳥の夏/京極夏彦/講談社文庫
先に読んでしまった「魍魎の匣」にくらべると、ラストの驚愕度は低め(そりゃそうか...(^^;)。このシリーズでは、なんといっても榎木津探偵の*言 動*が好きなのだが、今回もうちょっと出番があるとうれしかったなぁ...とりあえず、このシリーズも文庫版の発刊に追いついてしまった。次作を楽しみに 待つことにしよう。
2000/07/06:封印再度WHO INSIDE/森博嗣/講談社文庫
もう完全にしてやられた。これじゃぁ、内容に関しては、何にも書けないではないか。シリーズ5作目まで読み進んできたわけだが、今のところ、一番気に入っ ている。(注意:いきなり「封印再度」を読むともったいないです。前4作を読み進んで、盛り上がってからにしましょう<何をだ(^^;)あぁ、これで文庫版の最新刊に追いついてしまった。早く、早く続きを.....
2000/07/04:兄なる風(上・下)/スー・ハリソン/晶文社
アリューシャン黙示録の第3弾。2世代に渡る物語の完結篇である。1作目からどんどん舞台が広がってゆき、本作では数ヶ所の離れた村々でのエピソードが同 時進行するスタイルとまでなった。それぞれがハラハラさせられる展開で、ラストに向けて見事一つにまとまっていく。
2000/07/01:詩的私的ジャック JACK THE POETICAL PRIVATE/森博嗣/講談社文庫
シリーズ4作目。今回もちょっとストーリーは苦しい感じ。ちょっとメカニカルなトリックが出てくるのは苦手だし、残念ながら読み終えて「おぉーっ!」とい う驚きはなかった。しかし、それよりも、このシリーズの魅力は登場人物たちの切れの良い会話や強烈な個性である。今回もそのあたりは相変わらず楽しめた。
2000/06/27:くじらの朝がえり/椎名誠/文芸春秋
2000/06/19:笑わない数学者 MATHEMATICAL GOODBYE/森博嗣/講談社文庫
さらに、すかさずシリーズ3作目。ハマってます。残念ながら、今回はトリックがすぐにわかってしまった上に、ラストの解釈が難解であった。(不定だからか (^^;)ちょっと、謎が残ってすっきりしない感じ。本筋からははずれるが、シリーズ完結編では主役の理系コンビがハッピーエンドになるのか、というあたりも気になってきたぞ...
#このシリーズ読むと、たばことコーヒーの量が増すかも...
2000/06/18:冷たい密室と博士たち DOCTORS IN ISOLATED ROOM/ 森博嗣/講談社文庫
さっそくシリーズ2作目。ちょっと前作では、「なにー!?」となるムチャな種明かしもあったのだが、今回はなんともあざやか。オーソドックスな密室ものな がら、きれいにまとまっていて、なるほど、と思わせてくれた。
2000/06/12:すべてがFになる THE PERFECT INSUDER/森博嗣/講談社文庫
ネットワーク、数字、プログラミングなどなど、情報系な設定がふんだんに盛り込まれている。計算機方面のトリックは、わりと早めの段階でなんとなくわかっ てしまったが、なかなかうまいしくみで、本気でやればできそうなあたりが面白い。天才少女がでてくるが、これがもう、ほんとにほれぼれする天才ぶりであっ た。単発ものかと思ったら、以降10編ほどもシリーズ化されているではないか。主人公の先生はなかなか研究者的極論をはいてくれるので、好きなタイプだ。 他の作品も読んでみたくなった。
2000/05/27:失われた宇宙への旅2001:アーサー・C・クラーク/ハヤカワ文庫
もともとは、'72年に書かれたもので、翻訳されていなかったらしく、新刊として出ていた。ボツ原稿を引っ張り出してきたりしたりするのはどうもあまり好 きではないのだが、本作はなかなか読みごたえがあって良かった。ラスト付近の描写は、ヘンテコ異星人の世界が延々と描かれていたりして、映画とも小説とも かなり違うものとなっている。(最近のクラークものでは、「3001年終局への旅」で、ずっこけていたのだが、やっぱり昔書いたものの方が良いなぁ)加えてキューブリックとのやり取りなど、映画のメイキング的な部分もあるが、そっちはやや退屈。
2000/04/27:ポストマン/デビッド・ブリン/ハヤカワ文庫
核の冬を乗り越えた近未来のアメリカ。やはり、こういう舞台設定ではお約束の略奪集団的な人々が幅をきかせている。主人公はひょんなことからポストマンを 装いつつ旅することになるが....なる展開、けっこう楽しめました。蛇足)
それは良いのだが、知性化シリーズの方はどうなっちゃってるんだろう?特に「スタータイド・ライジング」の続きが気になってしょうがないのだが...(も う、書く気無くしちゃってるのかなぁ...)
2000/04/23:バースディ/鈴木光司/角川ホラー文庫
いきなりこれにとりかかってはいけません。リング、らせん、ループと読み終わったてからにしましょう。エピローグ的な短編×3。
2000/04/09:白と黒/横溝正史/角川文庫
横溝さんもの読むのは久しぶり。シリーズでは初めて都会を舞台にしたそうだが、ちょっと妙にノリが軽くていまいち...ラスト、いろいろとつじつまが合っ ていくのは良いのだが、肝心の犯人の動機に??さらに白と黒...種明かしされても、そんなの聞いたことないぞ...
2000/04/02:OL委員会秘宝館スペシャル「日本一の田舎はどこだ」編/清水ちなみ/幻冬舎文庫
なんと、一位はここ宮城だそうな、そんなにトンでもない報告も無いかわりに、各分野でコンスタントに点数をかせいでいた。へーっ、と思ったのは土葬の地域 がけっこうあったこと。あと、透明なトラック(嫁入り道具搬送用)ってのも、はじめて知ったぞ。
2000/04/02:活字探偵団/本の雑誌編集部/角川書店
本にまつわることはなんでもかんでも調べてしまっていて、これがなかなか奥が深いのであった。(ちなみに殺人防御率ワースト1の探偵小説主人公は、予想通 り私の好きな金田一耕輔である。(^^;)出版関係の面白話もちりばめてあって、なかなか楽しい。注文時の聞き違いで、短冊の書名が「春を待つころ」(少 女コミック)->「ハロー松五郎」に化けた話とか...いやはや、一部非常に笑わしてもらいました。
2000/02/19:quater mo@n/中井拓志/角川ホラー文庫
怖いというのとも違うし、ハラハラするというわけでもないのだが、独特の雰囲気で大変気に入った。そういえば、本作のようなサイバー空間こそ出てこない が、PSのMoonlight Syndromeというゲームの中にも大変似たエピソード(けっこうヤバい話かも(^^;)が出てきていた。もしかして、何かモチーフとなるような事件で もあったのだろうか?
2000/01/10:姉なる月(上・下)/スー・ハリソン/晶文社
アリューシャン黙示録の第2弾。紀元前7000年代のアリューシャンの生活描写が非常に良い。ただ、ちょーっとストーリーが型にはまりすぎの感あり。悪い ヤツはとことんしょうもなくて、ヒロインはひたすらかわいそう。苦手なパターンが続くなぁ。しかし、ここまで読んだら、完結編の「兄なる風」?も読まねば なりますまい。あんまり、ヒロインがぶんなぐられたりしない展開を期待しているのだが、甘いかなぁ。
2000/01/02:青の炎/貴志佑介/角川書店
貴志佑介のこれまでの作品では、後半の追跡劇でハラハラするというパターンが多かったが、この作品は終盤が非常にせつない。途中でやめらない面白さは相変 わらず健在だ。(あら探し:"HP"とか書いてあった...)
1999/12/30:ぼっけえ、きょうてい/岩井志麻子/角川書店
角川ホラー大賞のタイトル作と、書き下ろし3編を収録した短編集。やはり「ぼっけえ、きょうてい」が一番か。寝話語りという形で話が進むのだが、淡々と怖 くなっていく。岡山の方言もいい味を添えた。(タイトルは、「すごく怖い」の意)
1999/12/12:不気味な話1/江戸川乱歩/河出文庫
短編集。なにかしら病的な人々のオンパレードで、どちらかというと異常なひとたちというタイトルが合ってるかも...かねてから読んでみたいと思っていた 「人間椅子」も収録されていた。こーゆー話だったのかぁ。
1999/12/03:漂泊の牙/熊谷達也/集英社
オオカミを追う追跡サスペンス。(前半は現代版「熊嵐」といった感じ)自然や動物の描写がすばらしい。なんと主な舞台は鬼首や鳴子、仙台ではないか。宮城 県人にはなじみの地名が出るわ出るわで、結末もなかなか好きなパターンであった。出張帰りの電車で読み始めたら例によって止まらなくなり、帰宅後も続行し て一気に読了。お勧め本です。
1999/12/01:魍魎の匣/京極夏彦/講談社文庫
1050ページの大作で前半はゆっくり読んでいたのだが、後半に突入するとどうにも中断できない展開になっている。平日なのに朝4時までかけて最後までの 残り500ページを一気読みしてしまったではないか。延々続くたねあかしで、いかに前半に伏線がしかれまくっていたかに気づく...久々に驚愕のラストを 迎えさせてくれました。うーむ、気に入った!
#しっかし、あんまりといえばあんまりな話だ...ちょっと後ひいてしまふ...
1999/10/23:蠱/加門七海/集英社文庫
短編怪談集。心理描写が淡々と続く話が多いが、どれも後半に向かってどんどん異常度が増していく様が怖い。
1999/10/15:とんがらしの誘惑/椎名誠/文芸春秋
そうかこのシリーズもはや10年か...
1999/09/29:バーサーカー皆殺し軍団/フレッド・セイバーヘーゲン/ハヤカワ文庫
タイトルでヒいてしまってはいけない。原題は"Brother Berserker"だから、あんまりな邦題ですなぁ。'67年頃と昔の作品だが、映画「ターミネータ」のもとねたはこれではないかと力いっぱい疑ってし まった。設定はかなりむちゃだがそこはSF、なかなかの秀作です。
1999/08/29:間違われた女/小池真理子/梢伝文庫
後半ダレた...が前半はなかなか怖い。ひとり、あんまりにも救われない人がいて小説ながら同情してしまう...(^_^;
1999/06/30:悪魔は夜はばたく/ディーン・R・クーンツ/創元推理文庫
をぉ、1/10くらい進んだところで犯人をあてたぞ。(でもちょっと邪道な推理かも)ちょっとオカルト?も入ってます。
1999/06/28:仄暗い水の底から/鈴木光司/角川ホラー文庫
水にまつわるショートストーリー集。とんでもストーリー化していった「らせん」「ループ」から一転。鈴木光司をちょっと見直した。はっきりと決着をつけず に終わる話もあるが、余韻が良いので気にならない。
1999/06/22:レフトハンド/中井拓志/角川ホラー文庫
バイオハザードもので読んだうちでは、一番とんでもない症状が感染者を襲う。でもちょっとけなげなレフトハンドを応援してしまったかも。(^_^;
1999/06/16:人獣細工/小林泰三/角川書店
怒濤のイキオイで小林泰三を終了。これも短編集で、最後の「本」という話はちょっとおかしかった。「コォッ!」
1999/06/13:肉食屋敷/ 小林泰三 / 角川書店
短編集。どの話もいっちゃってるなぁ。まだ「人獣細工」というのも手元にあるぞ。(^_^;
1999/06/13:玩具修理者/ 小林泰三 / 角川書店
うむー、けっこうグロかった。(ちなみに泰三と書いて、「やすみ」と読むと初めて知った)
1999/05/31:ゆがんだ闇/ 小池真理子, 鈴木光司, 篠田節子, 坂東眞砂子, 小林泰三, 瀬名秀明 / 角川ホラー文庫
はずれなしの短編集。
1999/05/28:弟切草 / 長坂秀佳
ファミコンの「弟切草」やったことがある人の方がやや楽しめそうな展開。でも、あーいう終わり方はやめてくれー。
1999/05/14;にんぷ天国 / 岡崎香、伊藤理沙
いや、挿し絵と漫画の伊藤理沙ふぁんなもので...(^_^;笑っちゃう度ではさくらももこの「そういうふうにできている」の勝ちかな。お勉強になった。
1999/05/06:クリムゾンの迷宮/ 貴志佑介
またまたヒットの一気読み級の面白本だ。(ただし、今回は話中盤でオチが読めてしまったところがやや残念)それにしても貴志佑介は今のところハズレなしで きているし、毎回前作とは違うジャンルで攻めてくるからすごい。次作も楽しみだ。
1999/05/06:ジョーシキ一本釣り / 久保キリコハ
1999/05/06:十三番目の人格-ISOLA- / 貴志佑介
ISOLAの意味は某映画で知っていたのだが、後半のタネあかしまで気づかず。「天使の囀り」に続き、これまた面白本。
1999/05/06:墓地を見おろす家 / 小池真理子
ストーリーは単純明快。ストレートに怖かったです。
1999/05/06:覚醒するアダム / デヴィッド・アンブローズ
ちょっとラストが好みじゃないなぁ。ポルターガイストを人為的に作る実験のところは、できそうな気もさせられてちょっと面白い。
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